ビジネスマナーは社会人として身に付けなければならない基本動作です。
その中でも相手の印象に残る「挨拶」「接客態度」「電話対応」は評価や結果に直結します。
仕事をしていると、取引先から電話がかかってきたり、お客様が訪問してきたり、また自らが営業やお使いなどで他社を訪問することもあります。
電話応対のマナーは研修で教わりますが、日常の業務で対応していないと忘れてしまいますよね。
応対をしてみようにも研修を受けていない人や教わっていても、うろ覚えの場合、どうしたらいいのか困ってしまいます。
自信がない、失敗したらどうしよう…と不安になってしまう前に電話応対のマナー、訪問と来客応対の方法をここで身に付けましょう。
ビジネスの基本!電話応対のマナー
電話応対は、電話に出た人の対応によって会社の印象が変わってしまいます。
電話に出て担当者に取り次ぐだけと思っていても実際に上手く応対できなかったりします。
緊張して声が小さくなったり、電話の声が聞き取れず、聞き直しづらくなり、対応に困るから電話応対が苦手という人もいるでしょう。経験が少ないと電話応対は緊張してしまい、上手くできません。
最初は失敗してもいいので電話応対に慣れることが必要です。基本のやり取りを覚えて積極的に電話に出ましょう。
電話応対の事前準備
1、手元にメモ帳とペンを用意しておく
いつ電話がかかってきてもいいように、メモ帳とペンはすぐ使える所定の位置に置いておきましょう。
電話がかかってきてからメモやペンを探しているとスムーズな受け答えができません。
特に慣れていないうちは、メモ帳とペンは電話の近くに置いておき、必要に応じて電話の内容をこまめにメモしておきましょう。
2、電話の受け答えは明るい声で
第一印象をよくするために、明るい声で話しましょう。
電話では相手の顔が見えません。電話の声だけでやり取りするわけですから、普段よりも1段明るい声で話すことを意識しなければなりません。
かける時も受ける時も電話で話すときは明るい印象の声を心がけましょう。
3、会社の代表として応答している意識を持つ
ビジネス上の電話は、会社を代表してかけたりとったりするものです。話している相手も電話に出た人のことをその会社の声として判断します。
電話応対のポイントと基本的な流れ・文言を頭に入れておき、過不足ない対応ができるようにしておきましょう。
「自分は会社の代表として応答している」という意識と責任感を持ちましょう。
電話をかけるときの基本
1、かける前に時間を確認し昼食時や朝・夜の業務時間外は避ける
週明けや連休明けの業務開始時間は、朝礼や伝達事項報告など忙しい時間帯です。なるべく避けておきましょう。
朝・夜などの業務時間外にどうしても電話をかけなければならない時には、一言添えるのがマナーです。
2、電話がつながったら、必ず社名と自分の名前を名乗る
電話をかけた時には、社名と自分の名前を名乗り、その上で相手がいるかどうか確認します。
3、相手が電話に出た時には、再度社名と名前を名乗り用件を簡潔に伝える
電話が長くなりそうな場合は、事前に「〇分ほどお電話よろしいでしょうか?」などとうかがって相手に都合を尋ねる配慮が必要です。
4、相手が不在の時は戻り時間を尋ねて電話をかけ直す旨を伝える
相手が不在の時には戻り時間を尋ねて電話をかけ直す旨を伝えましょう。
例えば「お戻りは何時ごろのご予定でしょうか?」「それでは改めてこちらからご連絡を差し上げます。ありがとうございました」などとする流れが一般的です。
5、先方の用件で電話を折り返した場合は、その旨を伝える
先方の用件で電話をかけ直した場合には「お電話いただきました、○○です。折り返しご連絡させていただきました」と先方用件の電話であることを伝えましょう。
6、電話を終えたら、受話器はそっと置く
電話を終える時には卓上電話の際は雑に受話器を置かないように気を付けましょう。フックを押してから受話器を置くと丁寧です。
電話を切る時はかけた方から切るのが基本的なマナーです。しかし相手がお客様の場合には相手が電話を切ったことを確認してからこちらも受話器を置くように心がけましょう。
電話を受けるときの基本
1、電話がかかってきたら3コール以内に取る
電話を受ける時は、基本的に3コール以内に受話器をとりましょう。
2、電話を受ける時「もしもし」はNG
電話を受ける時に注意点として、まず会社に電話がかかってきた時には「もしもし」とは言いません。ビジネスシーンでは「もしもし」はNGです。
「お電話ありがとうございます」と明るい声で電話に出ましょう。
3、先方の社名・お名前を復唱する
電話を受けたら先方の社名とお名前を復唱します。
この時、「株式会社○○の○○様で『ございますね』」と言う方がいますが、「ございます」は自分に対して使う言葉です。相手のことを言う時は、『いらっしゃいますね』を使いましょう。
4、先方が名乗らない、聞きとりづらい場合は聞き直す
先方が名乗らない場合は、必ず訊くようにします。
「私、○○と申しますが、お名前を教えていただけますか?」と、自分から名乗って相手の名前を伺うのがマナーです。
聞きとりづらい場合は訊き直すことが必要です。相手の名前を間違えるほど失礼なことはないので、しっかりと聞き取りましょう。
その際は、「恐れ入りますが、少々お電話が遠いようなので、もう一度お名前をおっしゃっていただけますか?」などと聞き返せばよいでしょう。「お声が小さいので」など、相手を責める言い方は絶対にしてはいけません。
5、取次ぎは、保留にしてから行う
近くにいる人に取次ぐ場合でも保留にして取次ぐのが基本です。
相手を待たせないためにも保留にするのは30秒程度とします。30秒以上かかりそうな場合は、折り返しのお電話をする旨を伝えるのがマナーです。
「電話代がかかる」「相手の時間を奪ってしまう」という意識を持つことが大切です。
6、取次ぐ相手が不在の場合は、不在であることを伝える
取次ぐ相手が外出などの理由で不在の時には、電話の相手に不在であることを伝えて折り返す旨を伝えます。
7、自分で対応できない場合は、一度確認する旨を伝える
かかってきた電話の内容を自分ひとりで解決できない場合もあります。
だれかに相談してから折り返しの電話をかけたい時には「恐れ入ります。その件に関しましては少々お時間を頂戴したいのですが、折り返しお電話を差し上げてもよろしいでしょうか?」と相手に確認しましょう。
8、個人情報は口外しない
携帯電話の番号などをはじめとする社内の個人情報は決して教えてはなりません。
「御社の部長のお名前を失念してしまいまして…」など、名前を聞き出そうとする場合もあります。怪しいと思った場合は、「本人に確認して、必要な場合は折り返しご連絡いたします」などと伝えましょう。
また、万が一いたずら電話を取ってしまった場合は、相手の求めに応じて個人情報を伝えるのではなく、「お電話が遠いようですが…」と丁寧に対応した上で「大変申し訳ございませんが、お声が届かない状況ですので切らせていただきます」と対応するとスムーズです。
必ず身に付けたい訪問・来客応対のマナー
ビジネスパーソンであれば、商談や打ち合わせで取引先を訪れることは避けて通れません。
訪問時のマナーは、取引先の相手に信用される関係を築いていくためには重要なのです。
訪問マナーがしっかりとできている人は、「信頼できる人物」という印象を与え、取引先とのビジネスチャンスが広がる可能性があります。
来客応対のマナーも同様で会社にはさまざまな用件でお客様がいらっしゃいます。
お客様にとって訪問先の会社は自身の会社とは違いますし、初めての会社に出向くときは不慣れのため戸惑ってしまわないかと不安な気持ちでいっぱいかもしれません。
そんなお客様に不安感を抱かせないことと常に会社の代表という意識を持って応対することが重要です。
自分が担当者や受付係ではないから、あるいは忙しいからなどの理由で、受付や入り口に立っているお客様を待たせることはマナー違反です。
訪問時や来客応対の印象は、会社全体のイメージも左右してしまうのです。マナーを身に付けて会社や上司、先輩などに恥をかかすことのないように、第一印象を良くしましょう。
訪問時のマナー
訪問前の準備
1.アポイントをとる
必ず事前に連絡をして、相手の都合を伺い、訪問の日と時間決めます。
「近くまで来たので、ご挨拶に…」と急に訪問する場合でも、事前に相手の都合を電話でお聞きしましょう。
2.訪問の目的
何のために訪問するのかを、明確にして伺います。
相手にも、訪問の目的はきちんと伝えておきましょう。重要な打合せなど、相手にも準備が必要です。
3.所要時間
だいたいの予定所要時間を伝えることで、相手も次の予定が立てやすくなります。
4.訪問人数
複数人で訪問する際は人数も伝えましょう。先方も応接室やミーティングルームの準備など人数によって変わるからです。
5.場所の確認
別館などビルが複数ある会社もあります。アポイントをとる際にどのビルに伺えばよいか、また何階かなども確認しましょう。
訪問に際して
1.行き方(交通手段)
地図や路線図等で電車での移動時間や駅からの所要時間を確認します。時間は余裕を持ちましょう。
2.身だしなみを整える
出かける前には失礼のないように身だしなみを整えて出かけましょう。服装、靴、髪などをチェックします。
3.持ち物チェック
書類、名刺、筆記用具はもちろん、必要なものを確認します。名刺入れの中の名刺の補充そしておきましょう。訪問先の住所や電話番号なども、メモして確認できるようにしておきましょう。
到着してからのマナー
1.早めに到着する
出来れば約束の時間の10分前には到着し、身だしなみを整え、携帯をマナーモードにします。コートやマフラーは入口前で脱いでおくのが正しいマナーです。
コートなどについたほこりや汚れを建物に入れないという理由です。また、雨の場合、傘はきちんと折りたたんでから入り、室内に出来るだけ水滴が落ちないように気を使いましょう。
2.下座である入口に近い席で待つ
会議室や応接室に通されたら、入口に一番近い席で待ちます。後で、奥の席を勧められたら移動します。
3.椅子に荷物は置かない
カバンなどの荷物は、基本的には床に置きましょう。コートなどは外側を中にして畳んで、自分が座っている椅子の背にかけます。先方が預かってくれる場合もあります。
4.誰にでも挨拶する
訪問した相手にはもちろん、それ以外の人にも、例えば、受付の人、お茶を運んでくれた人にも、挨拶をしましょう。
訪問後の対応も大事
1.訪問後は感謝を伝える
訪問後には、時間をとって話を聞いてもらったことへのお礼の言葉を伝える様にしましょう。
お礼の言葉は訪問の際にも直接伝えますが、訪問後に、電話や手紙、メールなどで再度お礼を言うと、より感謝の気持ちが伝わるでしょう。
この場合、訪問した日のうちか、遅くとも翌日にするべきです。ただし、数日間の出張中に相手を訪問した場合などは、出張を終えて自分の会社へ戻ってからでも構いません。
2.アフターフォローをすること
話した事をその場だけで終わらせず、後からフォローすることも相手に印象を与えるテクニックです。
商談とは関係ない内容の事でも、打合せで話題にあがった事の資料を訪問後に送って差し上げたり、細やかな心遣いが相手の信頼を得られることにつながります。
来客応対のマナー
来客応対の基本マナーは笑顔で「いらっしゃいませ」
来客に気づいたら素早く、笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけます。受付がない場合は、来客に気づいた人がすぐに笑顔で立ち上がって、応対します。
- 失礼ですが、お約束でございますか
- 恐れ入りますが、どのようなご用件でしょうか
- 恐れ入りますが、お名前をうかがってもよろしいですか
そして担当者に連絡を入れ、お客様を応接室や会議室などに案内します。担当者が迎えに来る場合は、「すぐに○○が参りますので、(椅子があれば)こちらにおかけになってお待ちください」と伝えます。
来客応対でアポなしでの来訪者のマナー
時には、急にアポなしで来社する訪問者もいます。
そんな場合は、自分で「アポなし=会わない」と決め付けたりせず、必ず担当者に相手の社名と名前、用件を伝えてどうすればいいのか確認しましょう。
また状況によっては、担当者が居留守を使いたいときもあるので、担当者がオフィスにいるのか、不在にしているのかなどは相手に伝えずに、担当者の都合を確認しましょう。
断るように言われたら、どのように断ればいいのかも確認しましょう。もしも、お断りする場合であっても、むげに扱わないようにします。
たとえセールス目的の来訪者であっても、あくまでも丁寧な言葉遣いではっきりと伝えましょう。
来客応対で部屋にお通しする際のマナー
受付から応接室まで距離がある場合、お客様を先導してお連れしますが、この時、気をつけたいポイントがたくさんあります。
廊下では歩調を合わせる
廊下を歩く際は、「こちらです」と、行き先を指先を揃えた手で示します。
お客様の右斜め2~3歩前を歩くようにします。この時、1人でスタスタ進んでいかないように、お客様の歩調に合わせましょう。
階段ではお客様が常に上
階段を使う際、お客様が常に高い位置になるようにします。
しかしお客様の後ろを案内の者が歩くという形は、お客様を不安にさせてしまうかもしれないので、「お足元にご注意ください。お先に失礼します」と断り、先に昇るようにしましょう。
下りの場合は、先に立っても、お客様より下になるので、あなたが先でも断る必要はありません。
エレベーターの中でも立つ位置に注意
エレベーターが到着したら、ドアが閉まらないように、お客様に先に乗っていただきます。
もしエレベーターの中に誰もいなければ、自分が先に乗って操作ボタンの前に立ちます。エレベーターにも、上座と下座があり、上座は左奥です。
操作ボタンの前に立つ際は、お客様にお尻を向けないように注意しましょう。降りるときは、ドアが閉まらないようにドアに手をかけ、お客様を先に降ろします。
部屋に入る時の順番
お客様をお通しする部屋に着いたら、中に誰もいないとわかっていても、念のため、必ず2回ノックしてから、ドアを開けます。
押して開けるドアの場合は、自分が先に入り、お客様に後から入ってもらいます。
手前に引いて開けるドアの場合は、先にお客様を通してから、自分が後で入ります。
椅子をおすすめし、退室する
手で応接セットの方向を示して、「担当の者がすぐに参りますので、どうぞ、おかけになってお待ちください」と言います。
退室する時は、ドアの前でお客様の方を向き、「失礼いたします」と一礼して部屋を出ます。
座る場所には、「上座」と「下座」があります。お客様に座っていただくのは、入り口から一番遠い場所にある椅子やソファになります。
お客様がお帰りになる時のお見送り
どこまで見送るかはその人との関係や時間の都合次第ですが、原則としては玄関先まで見送ります。
オフィスがビルの上層にあるなら、エレベーターの前で「ここで、失礼します」と言って、お客様が乗り込んだ後、エレベーターのドアが閉まりきるまでお辞儀をして見送ります。
建物によってエントランスまでが複雑でわかりにくい場合は、「玄関までお送りします」と言って、玄関まで見送ります。玄関に着いたら「失礼します」と言って、頭を下げて見送るようにします。重要なお客様が車でいらしていた場合は、その方の車までお送りし車が見えなくなるまでお辞儀をし続けます。
来客応対の緊急マナー
応接室が片付いていなかったら
前に使った人がきれいにしておくべきなのですが、会議室を開けたら、前の会議で使ったままということが時々あります。できるのであればほかの応接室を探してください。空いていない、一部屋しかない場合は、お客様に「申し訳ありません、少々お待ちください」と断り、先に部屋に入って素早く片付けましょう。
お土産を頂いたら
お土産をいただいた場合は、「ご丁寧にありがとうございます」と両手で丁寧に受け取り、お礼を言います。担当者からもお礼が言えるように担当者にその旨を報告しておきましょう。
このようにお客様がいらした時に気をつけなければならないことがたくさんあります。来客時にスマートに応対できるように基本のマナーを覚えておきましょう。
正しい名刺交換のマナー
ビジネスの場においてはじめての人と顔を合わせたとき、一番最初におこなう大切なこと。それが名刺交換です。
ビジネスパーソンにとって名刺は顔のようなものであり、名刺交換は相手に自分を知ってもらうための大事な第一歩になります。
名刺交換で第一印象をプラスにする
ビジネスシーンにおいてほとんどの場合、人との出会いは名刺交換から始まります。
名刺交換をうまく行うことは会社同士の付き合いをスムーズに始める意味でもあるわけです。名刺交換のマナーは、ビジネスパーソンにとっては欠かせないビジネスマナーとなります。
よい第一印象を与えるためにも、正しい名刺交換のマナーを身につけましょう。
正しい名刺の渡し方・受け取り方
名刺は自分の顔です。
渡す瞬間が印象に大きく左右するのです。その後のビジネスをスムーズに進めたいなら、そのことを肝に命じて、相手によい印象を与えるように心がけましょう。
名刺交換の流れ
- 名刺入れを素早く用意する
- 名刺入れから名刺を出し、名刺を両手で持つ
- 名刺入れは名刺の下、座布団のように持つ
- 名刺を両手で差し出し、「株式会社○○ 営業部の○○と申します」と会社名・肩書・フルネームを述べる
- 相手も名刺を出している場合は、相手よりも低い位置で名刺を差し出す
- 相手も名刺を出している場合は、右手で名刺を差し出す
- 相手も名刺を出している場合は、左手で相手の名刺を受け取る
- 受け取った名刺にはすぐに右手を添える。この際、名刺入れは座布団のように受け取った名刺の下に持つ
- 相手の名刺を両手で受け取った形になったら「頂戴いたします。よろしくお願いいたします」と述べる
名刺入れを出すのにもたもたしてはいけません。これから名刺交換というのはすぐわかりますから、その時点で名刺入れは取り出しておきましょう。相手の会社に訪問した場合には必ずこちらから名刺を差し出します。
また名刺交換は「一番偉い人から順番に行う」のがマナーです。肩書の順番に行うのを忘れないでください。
相手が「部長」「課長」の二人、こちらが「係長」「新人」の二人で訪問したのなら、「部長・係長」「部長・新人」「課長・係長」「課長・新人」の順番に名刺交換となります。
まとめ
いろいろと細かい決まり事が多くて面倒だな、と思う人もいるかもしれません。
しかしビジネスパーソンにとって電話応対、来客応対も他社訪問も、会社を代表しているという意識で行わなければならないのです。
ビジネスマナーとして定着している習慣の背景にあるのは、相手のことを敬う気持ちです。
相手を敬いビジネスマナーを守ることで、取引先や会社での評価や仕事の結果につながるのです。
今からでも遅くありません。ビジネスマナーをしっかりと身につけて印象を磨きましょう。