ビジネスパーソンとして必要なビジネスマナー、ちゃんと身についていますか?
社会人なら新人の頃にマナー研修を受けているとは思いますが、そのマナーをTPO(時間、場所、場合)に合わせてできている人はどれだけいるのでしょうか。
新人でも中途採用だとマナー研修がなかったり、簡単には教わったけれど業種や職種によっては使う場面がなくて覚えていなかったりしますよね。
またビジネスマナーを知っている、わかっているつもりでも正しくできていない人がたくさんいます。「ビジネス経験が浅いので知りませんでした」で許されるかというと、世の中はそんなに甘くないのです。
正しいビジネスマナーを知らなかったために得意先や面接などで恥をかいてしまい、それが原因で印象が悪くなることも十分考えられます。
マナーが正しく身についている人は周囲への心配りができますし、仕事相手を思いやれるからこそ信頼関係が生まれ、この人なら一緒に仕事をしてみたい、任せたいと思いますよね。
ビジネスマナーは人との信頼において重要なのです。その中でも基本である身だしなみと挨拶は相手の印象、評価に大きく影響します。
人は第一印象で相手の性格や行動を判断してしまう傾向があります。そのため自分の身だしなみや挨拶で相手は印象を決めてしまうのです。
- 身だしなみに気をつけていれば・・・
- 挨拶もちゃんとしていれば・・・
第一印象で失敗してあとから後悔しないためにも「身だしなみ」「挨拶」を今一度振り返ってみましょう。
ビジネスマナーの基本は身だしなみから
ビジネスでの身だしなみは、「おしゃれ」や「自己表現」である以前に、相手に不快感を与えないための最低限のマナーなのです。
初対面の人やよく知らない人については、身だしなみや態度など「見た目が9割」で人は他人を判断するのです。
なかには「身だしなみといっても、毎日顔を合わせるのは気心の知れた同僚ばかりだから気を付けていない」という人も少なくありません。また「大切なのは外見より中身だ」という人もいるでしょう。
では、なぜ中身より外見が重要なのか。
正しい身だしなみにするにはどうしたらいいのか説明していきます。
ビジネスマナーに身だしなみが重要な理由
人には初めて出会った相手を数秒で印象を決めてしまう特性があります。また、その印象はその人の評価に大きく影響します。
多くの社会人には、マナー違反の身だしなみは非常に目につくものであり、相手の評価を下げてしまいます。
マナー違反では自分が恥をかくだけでなく、相手にも失礼だという事です。基本的には外見で印象が決まってしまうものなのです。
身だしなみが悪いと相手に伝わる印象は初対面時点でマイナスです。また第一印象を覆すには多くの労力が必要となってしまい難しくなります。
身だしなみは言葉よりも、あなたの「中身」を相手に語ってしまいます。
やる気や自信といった気持ちは、身だしなみに表われるのです。身だしなみがいつもだらしなくて相手に不快感を与えていると仕事に携わる自覚が無いと判断されてしまいます。
また身だしなみを整えるという事は「あなたに会うために身だしなみを整えて参りました」という相手への敬意を表しているのです。
本人はやる気や敬意があったとしても、見た目だけでまず判断されてしまうのです。身だしなみで誤解されるのが不本意であれば、中身と外見を統一するしかありません。
相手にとっても、自分にとっても、外見の第一印象で中身が決まってしまう身だしなみがとても重要なのです。
人に好印象を与える姿とは
ビジネスマナーとしての身だしなみで好印象を与えるポイントは大きく分けて「清潔感」「TPO」「機能性」の3つです。
1つ目の「清潔感」は業種・職種に関わらず重要です。
不潔な身だしなみは相手に不快感を与えてしまい、仕事の評価にも大きく影響します。どんな服装においても、気持ちよく仕事をするためには清潔感が欠かせません。
例えば、シャツが汚い、しわだらけ、古い、シミがある、など服装のだらしなさは不潔な印象を与えます。いくら髪型などの外見を気にしても、服装のだらしなさが垣間見えるだけで不潔な印象に繋がります。
他にも靴やカバンなど、ビジネスパーソンには欠かせない服装や小物などでも同様の気遣いが求められるのです。
いくらいいスーツやシャツで着飾っても、靴が汚いと全体的に不潔な印象を与えます。鞄などでも同様に残念なケースが見られます。外見という意味では全体の視点で考えることが大切なのです。
毎日入浴することやシワの無い服を着るのは基本ですが、髪型、爪、小物などの細かい要素にも気を配って、見た目全体の清潔感を保ちましょう。
2つ目の「TPO」はビジネスの身だしなみでは社風や他の社員の雰囲気やシーンに合わせたりと臨機応変に服装を変える必要があります。
職場の雰囲気を壊したり場違いな印象を与える服装をしていると、会社全体としての調和やイメージが乱れてしまいます。
TPOとは、時・場所・場面という意味であり、それに応じた服装をしなければなりません。「自分が好きな服ならなんでも着てもいい」というわけではありません。
職種によっては服装や髪形が自由という場合もありますが、清潔感や信頼を得ることを重要視する職場や施設であればTPOにそぐわない服装はイメージダウンになってしまうのです。
職場には自分1人だけでなく一緒に働く相手がいます。同僚や取引先の相手に安心感や落ち着きを与えるような服装を選ぶことが大切です。
TPOをわきまえた服装をするために覚えておきたいのが、「オシャレは自分のため、身だしなみは相手のため」ということです。
自分が着たい服を着るのではなく、職場や業界の雰囲気を把握したうえで清潔感のある状況に合わせた格好をすることが重要です。
3つ目の「機能性」はビジネスシーンでは、単に見た目の良い服を着るだけでなく、仕事に必要な機能を兼ね備えた服装が求められます。
必要な機能性が備わっていない服装をしていると、仕事に支障をきたしたり周囲に迷惑をかけてしまいます。自分の仕事に適した服装が重要なのです。
「動きやすさ」は機能性で必要不可欠ですが、靴で例えるとデザインは良くても歩きにくかったり、厚底で不安定な靴は機能的とはいえません。また機能性の低い靴は疲れやすく、体を壊す原因にもなったりします。
機能性の高い服装は、仕事への集中力を高め、自分の健康にも繋がります。仕事で良い結果を生むためには、機能性重視の装いが必須なのです。
身だしなみポイント男性編
スーツ
スーツは清潔感とサイズ感が重要です。大き過ぎてもフィットし過ぎても格好の悪いものになります。自分の体型に合ったものを選びましょう。色は黒・紺・グレーが良いです。
- 控えめで上品である
- シワはない
- サイズの合ったスーツを選ぶ
シャツ
きちんとアイロンがかかった派手でないものにします。襟汚れや袖汚れにも注意しましょう。
- 襟や袖に汚れのないシャツ
- シワがない
靴下
紺色や黒色が良いです。踵が薄くなったりする前に定期的に新品と取り替えます。
- ビジネスに合った靴下(スーツに白い靴下はNG)
- 清潔でほころびもない
ネクタイ・鞄・靴
ビジネスにふさわしいシンプルなデザインのものが一番です。
- ビジネスにふさわしいオーソドックスなデザインの汚れのない靴
- シンプルなデザインのネクタイ
- 手入れをしてある鞄
髪・ヒゲ
髪型は基本的には黒髪が一番無難です。定期的にカットして整った状態を維持しましょう。ヒゲは剃り残しのないように気をつけます。
- 洗髪した整えられた髪
- ヒゲの剃り残しのない顔
爪、髪型、スキンケアほか
指先は名刺交換や書類を渡す時などに意外と注目されるので、短くカットし、爪の間の汚れのないようにします。
本人が気づきにくい口臭と体臭は不快感を与えるのでこまめに対策を行いましょう。
顔が汗や脂まみれだと不快感を与えてしまうのでこまめにスキンケアをしましょう。
- きちんと整えられた爪
- アルコール臭、汗臭さ、ワキガ、口臭など体臭に気をつける
- 額が脂でテカテカに光らないよう、こまめに洗顔
身だしなみポイント女性編
服装
女性の場合もスーツは男性同様にサイズに注意します。自分のサイズに合ったスーツを着用しましょう。色は黒・紺・グレー・ベージュ等の定番色が良いです。
スーツ以外の服装の場合は、体型が出過ぎないように注意します。胸元やスカートの長さにも気をつけて下品にならないようにしましょう。基本的に控えめ・上品さを心掛けた服装を選びます。
- 基本的なデザインで質の良いスーツ・シャツ
- スーツの色は黒・紺・ベージュ・グレー・白などの定番カラー
- サイズの合った洋服を選ぶ
ストッキング
無地のものにします。基本的には肌色が良いでしょう。
- ストッキングは肌色の無地が基本
髪型
ヘアカラーは暗めの色が良いです。長い髪は清潔感に欠けますし、暗い印象を与える場合もありますのでまとめましょう。ヘアカラーについては会社規定がある場合が多いので確認しておきましょう。
- 仕事の妨げにならないヘアスタイル
- 暗い印象にならないようにサイドアップに
- ヘアカラーは会社の規定があればそれに準じること
メイク・ネイル
ナチュラルを心掛けましょう。アイメイクは派手にならないように。つけまつげやカラコンはビジネスの場ではふさわしくありません。
ネイルに関しても上品なものにして個性的なものは避けます。ピンクやベージュが無難です。
- ビジネスにふさわしいナチュラルメイク
- 派手なアイシャドーや太すぎるアイラインは避け、控えめなアイメイクを心掛ける
- 不自然なほどのまつげエクステンションは避ける
- カラコンはオフィスでは違和感があるのでアフターファイブに
- ネイルはピンクやベージュなどの上品なものか
アクセサリー
派手なものは避け、上品で目立たないものにします。
- あまり目立たない控えめなもの
- 小さく上品なもの
- 金属同士がぶつかり合ってガチャガチャと音が鳴らないもの
靴
ピンヒールは仕事の妨げになる場合があるので避けましょう。指先や踵の露出が多いサンダル・ミュールは避け、汚れのないように手入れしておきましょう。
- 磨かれた靴
- オープントゥやバックストラップサンダルはカジュアルに見えるので注意
香水
ほんのり香る程度にして強い香りのものは止めましょう。
- 匂いの強すぎる香水をつけない
人間関係の始まりは挨拶から
たかが「挨拶」と思っていないでしょうか?
初めて会った時の服装や言葉遣いは相手に大きな印象を与えます。
この時に相手はあなたの人柄を勝手に決定してしまうのです。
清潔感のある服装、明るくさわやかな挨拶をする人、丁寧な言葉遣いの人など、誰もが、安心感や信頼感を持つはずです。
これが逆であったらどうでしょう。相手にマイナスイメージを与え、好印象をもたれることは決してないはずです。
ビジネスは相手に好感を持ってもらうことから始まります。社会人として挨拶は基本中の基本です。
明るく元気な挨拶は職場に活気を与え、良好な人間関係を築くための第一歩となるのです。
挨拶が評価に影響する
挨拶なんて当たり前の事だと思って、軽く扱ってはいけません。
挨拶をしない、返さないような態度の社会人は自分で自分の評価を下げている行為であると自覚すべきなのです。
挨拶しなかったり、「したつもり」でも声が小さくて聞こえていないなど相手にきちんと伝わっていなければ、挨拶をしていないのと同じ事です。
挨拶をしなかったら社内だけでなく、得意先や関係者にも悪影響を与えます。例えば、無言で出社し、知らない間に退社していたら、上司や同僚から冷たい目で見られても仕方がありません。
たかが挨拶と思わずに、真剣に挨拶をしてみましょう。少しの努力で、あなたの印象や評価は大きく変わります。
「明るく元気で、やる気のある人だ」「とても好感が持てる人だ」と思われれば、社内でも社外でも自分のキャリアのプラスになるに違いありません。
想像以上に挨拶だけで評価に影響を与えてしまうのです。
挨拶は「自分から」が基本
年齢や役職に関係なく、基本的に「挨拶は自分からする」と決めてしまった方が良いです。そして「挨拶を返さない人には挨拶をしない」事のないようにしましょう。
「相手が挨拶をしてから返せば良い」「挨拶するべきか迷う相手なので相手の様子を見る」等の受け身の考えでは挨拶のタイミングを逃してしまうからです。
しかし挨拶が人間関係を築く上で大切なものというのは頭ではわかっていても、なかなか実行できないことがあります。それは「挨拶を返してくれなかったらどうしよう」という気持ちです。挨拶を返してもらえなかったらショックで傷つくのが怖いからなのです。
たとえ相手が挨拶を返してくれなかったとしても挨拶は返事を求めるためのものではありません。返さない相手がマナー違反なのですが、気にしないようにしましょう。
中には「相手が挨拶をしたら返すだけ」の消極的な考えの人がいますがもし全員が同じ考えだった場合、挨拶自体がなくなってしまいます。それでは良い人間関係は築けません。
なので挨拶は「自分から」が基本です。「挨拶は自分から」という気持ちを持たなければ、挨拶がなくなるのです。自分の弱い気持ちに負けずに、「挨拶は自分から」を強く意識しましょう。
挨拶は言葉とお辞儀がセット
あいさつは言葉とお辞儀がセットです。順番としては言葉を言ってから、お辞儀をする「語先後礼」が正しいマナーです。
相手の目をみて「おはようございます。」少し遅れて、お辞儀をします。
挨拶をしながらお辞儀をしてしまいますと、相手の目を見る事ができませんし、声も聞こえにくくなります。ちょうど挨拶の言葉が言い終わると共にお辞儀をするイメージです。
はじめは考えながらになるかもしれませんが、慣れれば自然と身につきます。
- 背筋はぴんと伸ばし、両足をそろえます。
- あごを引き、腰から上体を折り曲げるようにします。このとき、両手の位置はズボンの縫い目くらいになります。女性は両手を前へ自然に合わせます。
- お辞儀をしたところでいったん止まり、ゆっくりと起き上がります。
はじめに相手の目を見てからお辞儀の後にもう一度相手の目を見るようにすると、さらに印象付けをすることができます。
髪が長い人はお辞儀のときに顔にかからないように、まとめるか留めておきましょう。
お辞儀は場所や状況によって使い分ける必要があります。
大きく分けて「会釈」「敬礼」「最敬礼」の3種類があります。
頭を下げる角度は
- 会釈(日常、入退室)15度
- 敬礼(目上の方)30度
- 最敬礼(尊貴な方、お礼、お詫び)45度
お辞儀をする相手や場面によって使い分けましょう。
覚えるべき接客七大用語とは
社会人に欠かせない接客7大用語と呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか。
接客7大用語とは、接客業でお客様に対して使用する代表的な挨拶や言葉です。
以下の7つの挨拶を覚えれば、マナーのある接客をする上でお客様に良い印象を与え、お客様だけでなく、社内の同僚や友人、家族でも人間関係をスムーズにする素敵な言葉です。
- いらっしゃいませ
- かしこまりました
- 申し訳ございません
- 恐れ入ります
- お待たせいたしました
- ありがとうございます
- 少々お待ちくださいませ
この接客7大用語は、その頭文字をとった『いかもおおあし』と覚えておくとよいでしょう。
まとめ
身だしなみと挨拶は人に与える印象が大きいのです。
人に良い印象を持ってもらおうと意識すれば印象が変わります。正しいマナーを行えば、明るい人、やる気のある人に見られるので、ビジネスはもちろん、就活や転職でもとても有利になるはずです。
これからは重要な仕事という意識でやってみましょう。
印象を磨けば、内面を磨くより簡単で効果も大きいのです。
今までビジネスマナーができていなかった、覚えていなかった人はこれを機に「身だしなみ」と「挨拶」のマナーをぜひ覚えて身につけましょう。